30代法務担当者に求められるサイバーセキュリティ知識とは?関連法や学習方法など(後編)

この記事は後編です。前編の記事はこちらをご確認ください。
<前編の要約>
法務が担うサイバーセキュリティ対応の基本領域として「個人情報保護」「契約書レビュー」「インシデント対応方針の策定」を整理し、予防から事後対応までを包括的に担う法務の役割を解説しました。
あわせて、新規事業への早期関与やM&A時のセキュリティDDなど、実務での関与領域と、押さえておくべき国内外の関連法規についても紹介しました。
引き続き後編では、法務×セキュリティに強い人材を求める企業の最新求人動向と、キャリアアップを目指す法務担当者が身につけるべき学習方法について詳しく解説します。
法務×セキュリティに強い人材を求める企業の最新求人動向
法務の中でも「サイバーセキュリティ」に精通した30代の人材の求人倍率は、他の法務領域の3~5倍程度に達しており、転職市場において「極めて需要の高い売り手市場」が続いています。
この専門性を持つ人材は、多くの企業でヘッドハンティングのターゲットとなるレベルです。
採用ニーズが高まっている業界は、主にIT(SaaS、クラウド)、金融、ヘルスケア、コンサル業界など、高度なセキュリティガバナンスが事業継続の要となる業界です。
これらの企業が求めるのは、単なるセキュリティ規制の知識ではなく、セキュリティリスクを「ビジネスリスク」として捉え、経営層に提言・実行できる能力です。
求人の応募条件の傾向としては、以下の実践的なアウトプット経験が特に重視されます。
- ・インシデント対応の指揮経験:重大なサイバー攻撃の初動から、当局・被害者対応までを法務責任者としてリードした経験。
- ・グローバル規制対応:GDPRやCCPAなどの海外のセキュリティ規制対応を、事業部門・IT部門と協働して推進した経験。
- ・セキュリティDDの実施:M&Aにおけるセキュリティリスク評価を法的な視点から実施し、契約交渉に反映させた経験。
これらの経験を持つ即戦力人材は、平均的な30代法務(600万円~800万円台)と比較し、100万円~300万円程度の上振れが提示される事例も少なくありません。
スキルセットによっては、年収900万円~1,100万円のレンジも十分に視野に入ります。
サイバーセキュリティに強い法務を目指す人におすすめの学習方法
サイバーセキュリティに強い法務を目指す30代の方には、「資格による知識の証明」と「実務でアウトプットする経験」の獲得を組み合わせた体系的な学習が効果的です。
知識の証明として、情報セキュリティマネジメント試験(SG)はIT部門との共通言語を持つための入門として最適です。
より高度な国際資格であるCISSP(Certified Information Systems Security Professional)は、セキュリティに対する本気度を示すため高評価ですが、単体で採用の決定打になることは極めて稀です。
資格よりも重視されるのは、「法務の責任範囲」でスキルを活用した実践的なアウトプットです。
最も効果的な学習方法は、「法務が主体的にIT部門の『通訳者』となる」ことです。
IT部門との連携強化
IT部門が使用する技術的な専門用語(例:PoC、CVE、ゼロトラスト)を積極的に学び、技術リスクを個人情報保護法や契約違反といった「法的リスク」に翻訳する訓練を積みます。
平時の体制構築への参画
IT部門が策定したインシデント対応マニュアル(CSIRT Plan)に法務の視点を入れ込み、「情報開示判断フロー」を明確化する作業に参画します。
独学と研修
独学では、IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ白書」や各種ガイドライン資料を活用し、最新の脅威動向を把握します。
まとめ
今日の企業経営において、サイバー攻撃のリスクは避けて通れない最大の経営リスクです。
この状況下で、法務的な視点とセキュリティの知識、そして「ビジネスリスクへの変換能力」を併せ持つ30代法務人材の市場価値は、今後ますます高まっていくことが確実視されています。
この専門性は、労務コンプライアンスの徹底と並行し、将来的なマネジメント層やハイクラスなキャリアチェンジを目指す上での確かな武器となります。
法務・セキュリティ領域のキャリアアップは、専門的な知見を持つコンサルタントとの戦略的な相談が不可欠です。
弊社MS-Japanの最新求人動向や非公開案件にご興味をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

横浜国立大学卒業後、電気系の総合商社に新卒で入社し法人営業に従事。
その後、キャリアアドバイザーとしてMS-Japanへ入社。現在は人事総務・経理領域担当として転職支援に従事しております。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 社会保険労務士事務所 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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