2023年04月01日

≪公認会計士のダブルライセンス≫中小企業診断士の特徴と取得するメリット

≪公認会計士のダブルライセンス≫中小企業診断士の特徴と取得するメリット

公認会計士資格は、それ単体でも、職場でのキャリアアップ、転職、独立をする上で非常に有利な資格です。
しかし、最近では公認会計士資格に加えてほかの資格を取り、ダブルライセンスを武器にして、さらに活躍の場を広げる公認会計士が増えています。
この記事では、そんなダブルライセンスの一つとして、公認会計士と中小企業診断士資格を持つことの強みについて解説します。

1.公認会計士と中小企業診断士の特徴

最初に、公認会計士と中小企業診断士のそれぞれの特徴を見てみましょう。

公認会計士の特徴

公認会計士とは、上場企業や大企業が作成した財務諸表の内容を客観的な立場からチェックし、株主や投資家に正当性を示すための会計監査を行うことを主な役割としています。
上場企業・大企業は、財政状態や経営状態を外部に知らせるために、自ら作成した財務諸表を開示しなければなりません。
また、その際に公認会計士や監査法人の会計監査(財務諸表監査)を受けることが、金融商品取引法や会社法によって定められています。
株主や投資家、取引先企業、取引銀行などのステークホルダーは、会計監査を受けた開示資料を参考にすることで、安心して取引を行うことができるのです。

中小企業診断士の特徴

中小企業診断士とは、企業がコストを削減したり売上を伸ばしたりして利益をあげるための方法について、適切な提案を行うことを主な役割としています。
経営コンサルタントの国家資格として、目まぐるしく変わる企業内外の環境を俯瞰的・論理的にとらえ、的確な判断を下すことができる高度なビジネススキルを売りに、さまざまなフィールドで活躍することができます。
中小企業診断士の資格は、別名「日本版MBA」と呼ばれることもあります。

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2.ダブルライセンスのメリット

公認会計士と中小企業診断士の資格を組み合わせると、問題解決能力がアップする、数字に強くなるといったメリットが生まれます。では、それぞれの内容について具体的に見ていきましょう。

1. 問題解決能力がアップする
公認会計士は、過去の財務データの数字を分析して問題を見つけることは得意としています。一方で、「その数字を使ってどのようにコスト削減をすればよいのか」「どのように売上を伸ばせばよいのか」といった経営課題の解決や改善は、公認会計士の不得手とするところです。

そのため、公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスがあれば、財務面と経営面の両方を見ることができるので、経営的な視点を持つことが可能になります。そのため、より一層高度なレベルで経営に関するアドバイスができるようになります。

公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスを持つ人には、経営者も安心して相談ができるようになるでしょう。

2. 数字に強くなる
中小企業診断士は、企業の経営資源である人・モノ・カネ・情報を横断的にとらえて分析し、経営改善に関する判断を下す能力を持っています。しかし、財務や会計面の細かい数字を読み取ったりチェックしたりすることはあまり得意ではなく、事業計画作成支援などをするときには、数字の根拠が弱くなることもあります。

一方、公認会計士は会計や財務のプロフェッショナルなので、公認会計士と中小企業診断士の資格を組み合わせることで、会計や財務といった数字の側面を強化することができます。したがって、経営支援や起業支援を行う際にも、明確な数字の根拠を持って説得力のあるアドバイスを行うことができるでしょう。

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3.公認会計士×中小企業診断士の両方が活きる仕事とは

公認会計士と中小企業診断士の両方の資格を活かせる業務としては、まず中小企業や中堅企業のコンサルティング業務があげられます。この両方の資格で得た知識を使って、事業がうまくいっていなかったり、経営が傾きかけていたりするクライアントに対し、事業と財務の両面からアドバイスを行い、経営支援を行うことができるからです。

さらに、ベンチャー企業での経営幹部を目指す人にとっても、公認会計士と中小企業診断士の資格を持っておくと役に立つでしょう。ベンチャー企業では少ない人員で何でもこなさなければならないことも多くあります。両方の資格の知識があれば、事業の側面からも財務の側面からも企業経営を見ることができるので、さまざまな経験を積みながら早いタイミングで経営者に近いポジションを獲得することも夢ではありません。

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4.公認会計士×中小企業診断士は転職や独立に有利?

公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスを取得することは、転職や独立に有利に働くと考えられます。
なぜなら、監査業務が専門の公認会計士と、経営診断が専門の中小企業診断士のそれぞれ異なる強みを組み合わせることにより、スキルを強化することができるからです。

公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスが特に有利になるのは、会計事務所、コンサルティングファーム、ベンチャー企業への転職、および独立となるでしょう。

会計事務所への転職

会計事務所は、コンサルティング業務へ業務の枠を拡大する傾向が、近年強く見られます。
経営コンサルタントとしての資格である中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスは、転職に有利になるでしょう。

コンサルティングファームへの転職

会計・財務系コンサルティングファームへの転職は、公認会計士の転職先として一般的といえるものです。
とはいえ、転職市場で勝ち抜くためには、「スペシャリスト」といえる専門分野をもっているかどうかが大きなポイントとなります。
中小企業診断士の資格を取得することは、有利に働くと考えられます。

ベンチャー企業への転職

ベンチャー企業へ転職する場合にも、上記の通り、事業の面からも財務の面からも企業を見ることができる公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスは有利になります。

独立

コンサルタントとして独立する場合には、公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスは大きく有利になるでしょう。
知識の幅が広がることにより総合的なアドバイスが可能となり、またダブルライセンスの取得者は希少であるため競争相手が少なく、集客する上で優位に立つことができるからです。

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5.公認会計士と中小企業診断士の試験、どちらが難しい?

公認会計士試験の合格率は、近年では10%前後となっています。
中小企業診断士の合格率は、4%前後です。
これだけ見ると、中小企業診断士の方が難易度は高いように見えますが、そんなことはありません。
公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間は3,500時間、それにたいして中小企業診断士では、1,000時間とされています。

公認会計士試験は、大学生など勉強する時間が豊富に取れる人が多く受験するのに対し、中小企業診断士は社会人が仕事の合間に受験することが多いです。
そのため合格率とは逆に、公認会計士試験のほうが難関であるといわれています。

中小企業診断士を公認会計士が受験する場合、「経済学・経済政策」と「財務・会計」の2科目が免除となります。
ただし、この2科目は、公認会計士として得意科目となるでしょう。科目免除せずに敢えて受験し、総得点を押し上げるために活用することも方法の1つです。

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6.おわりに

会計や財務のプロである公認会計士と、経営改善のプロである中小企業診断士のダブルライセンスを取れば、公認会計士・中小企業診断士のどちらかの資格だけを持っているときよりも仕事の幅が広がって、転職をする際にも有利になるでしょう。

いずれの資格もれっきとした国家資格なので、合格するのは容易いことではありませんが、仕事の幅を広げるためにもダブルライセンスを目指したいものですね。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ

監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。

具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。

転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。

キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。

ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?

一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。

監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。

事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。

40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。

企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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