「公認会計士はつまらない」と言われる理由は?やりがいや対処法を解説

「公認会計士はつまらない」という否定的な評価を耳にしたことがあるかもしれませんが、なぜそう言われるのでしょうか。
公認会計士の仕事の多くは、数字や財務に関する作業が中心で、一見地味に思えますが、実際には多くのやりがいやメリットがあることも事実です。
本記事では、公認会計士の仕事の本質や魅力、自己成長の可能性に焦点を当てながら、つまらなさを感じてしまった時にどう向き合うかも含めて解説していきます。
公認会計士という職業の理解につながる一助となれば幸いです。
「公認会計士はつまらない」と言われる理由は?
高い志を持って公認会計士を目指したにもかかわらず、仕事につまらなさを感じている人は意外に少なくありません。
理由としては、以下のような要因が挙げられます。
単調な作業が多い
仕事内容の実態は、膨大な量の書類。帳簿の確認や細かな数値計算など、地道な作業がほとんどです。
監査業務は同じ作業を何度も繰り返すことが多く、単調な仕事をつまらないと感じることもあるでしょう。
激務で体力的負担が大きい
公認会計士は、繁忙期には多くの業務が集中し、残業や長時間労働、休日出勤など体力的に大きな負担がかかることがあります。
また、監査業務では大量の重要書類を取り扱うため、正確さを途切れさせない集中力や忍耐力が必要です。
人手不足の職種であることから、1人にのしかかる仕事が増え、激務になりやすいことがモチベーションの低下につながっています。
責任と重圧がストレスになる
財務状況の監査や税務調査を行う際は、公平な視点で書類の誤りを指摘し、不備を正す責任があります。
その指摘に対して、クライアントから直接的な不満や抵抗を受けることはありませんが、間違いをただすためには適切な説明が求められ、精神的なストレスを抱えてしまいがちです。
これが続くと、仕事に対する意欲や張り合いがなくなってしまいます。
公認会計士のやりがいやメリットは?
公認会計士は、つまらないと思われることがある一方で、やりがいやメリットの大きい職業でもあります。
以下に、それぞれの一例を取り上げてみましょう。
公認会計士のやりがい
監査業務では大会社や上場企業をはじめ、さまざまな業種のクライアントを受け持ちます。
財務面での課題に対して適切な解決策を提案し、企業の健全な運営や成長に貢献することは、大きな達成感とやりがいにつながります。
また、会計の専門知識を活かすことで、スキルアップが実感しやすいこともやりがいに直結します。
特にアドバイザリー業務に携わる機会があれば、M&A案件などの重要なプロジェクトに関与することで、自己成長を実感できるでしょう。
公認会計士のメリット
公認会計士の1つ目のメリットは、給与水準が高く、安定していることです。厚生労働省の統計によれば、公認会計士の平均年収は約1,000万円となっています。
独占業務である監査は、大会社や上場企業で義務づけられており、需要が安定しているため景気に左右されにくいことが強みです。
また、公認会計士資格を持つことで、多様なキャリアプランを選択できることもメリットと言えるでしょう。公認会計士が持つ高度な専門知識は、監査法人以外のフィールドでも役立ちます。
コンサルティングファームや一般企業の経理部門、独立開業など、多岐にわたる選択肢があります。
自身の志向や目標に合わせてキャリアを形成できることが利点です。
「公認会計士はつまらない」と感じた時の対処法は?
公認会計士に限らず、働く人の多くは1日のほとんどの時間を仕事で費やします。
つまらないと感じたまま仕事を続けるよりも、「仕事が楽しい、やりがいがある」と思えたほうが有意義な日々を送れるでしょう。
つまらなさを乗り越えるための対策として、以下の方法をおすすめします。
目的意識を持つ
公認会計士としてつまらなさを感じた時、まず自身の目的意識を見つめ直すことが重要です。
仕事にやりがいを感じるために、自らの興味や情熱が向いている分野・目標を再確認しましょう。自分の役割や職務が社会にどのような影響を及ぼすのかを考えることで、仕事に対する意欲や使命感が高まります。
目的意識を持つためには、以下のステップが役立ちます。
- ・自己分析を行い、自分の志向や価値観、得意分野を明確にする。
- ・職務と自分の目的との接点を模索し、自身のスキルや経験がどう役立つかを考える。
- ・小さな目標を立てて進捗を確認し、本来の目標に向けて成長を実感していく。
今の仕事を今後のキャリアにつなげる
現在の仕事を、将来のキャリアへつなげる方法を見つけることが大切です。
公認会計士として培ったスキルや知識は、他の職種や業界でも高く評価される場合があります。
自分の強みや専門知識を活かせるキャリアを模索することで、現在の仕事でモチベーションを取り戻すことができます。
将来のキャリアにつなげるためには、まず今の職場で習得できるスキルや知識を積極的に学び取り、キャリアのベースとして積み上げることが重要です。
転職を検討する
目的やキャリアと現在の状況に大きなギャップを感じる場合は、転職を考えることも一つの手段です。
自分の理想とする職務や働き方を明確にし、転職活動に取り組みましょう。
公認会計士資格を活かした転職を希望する場合は、転職エージェントの利用がおすすめです。
弊社MS-Japanは、公認会計士をはじめとする士業と管理部門に特化した転職エージェント「MS Agent」を提供しています。
公認会計士資格を活かせる求人の紹介だけでなく、転職支援経験豊富なキャリアアドバイザーによる応募書類の添削や面接対策など、転職のサポートを行っています。
公認会計士の主な就業先
公認会計士が活躍できるキャリアとしては、以下が主な選択肢になります。
監査法人
公認会計士試験合格後、約9割の人が監査法人に就職します。
監査法人における公認会計士の役割は、会計監査や内部統制監査などの監査業務がメインとなります。
企業や地方公共団体、学校法人など、幅広い組織・団体を対象に、独立した第三者の立場から財務状況の適性を評価します。
会計事務所
監査法人に次ぐキャリアとして、公認会計士が持つビジネスに関する法律や税務知識に期待されます。
公認会計士は、無試験で税理士登録することできるため、税理士として会計事務所に就職することが可能です。
採用ニーズとしては、会計監査のほか、税務申告や財務相談などの業務で迎え入れられるでしょう。
公認会計士事務所
監査法人と同様に、さまざまな財務諸表を監査することが公認会計士の主な役割です。
一方で、企業や個人事業主の税務申告にも対応し、記帳代行など会計処理を代行する顧問業務を担うこともあります。
コンサルティングファーム
公認会計士は、財務戦略や業務プロセス改善、M&A支援、IPO準備などのプロジェクトに必要な人材として迎え入れられます。
ファームによっては、デューデリジェンスや評価業務など、財務面に関するコンサルティング業務に携わる機会もあるでしょう。
一般企業
会計のスペシャリストである公認会計士は、一般企業の経理や財務、内部監査部門に就職することも可能です。
ワークライフバランスが保ちやすい一般企業は、ハードワークになりがちな公認会計士にとって人気のキャリアパスです。
公認会計士の転職成功事例
ここでは、公認会計士が「MS Agent」を利用して、前職での悩みを解決した転職成功事例をご紹介します。
「もっと企業に入り込んだ業務がしたい!」監査法人から一般企業への転職成功事例

Bさん(30代・男性)資格:公認会計士
Big4監査法人
人数:5000名程度)
年収700万円


大手マスコミ業界の企業
人数:1,000名
年収820万円
Bさんは、公認会計士試験合格後、Big4監査法人に就職し、多数の監査案件をご経験されてきました。
クライアントに寄り添う仕事ぶりに評判の高かった一方で、ご自身ではもっとクライアント(企業)に入り込んだ業務で貢献したいを考えるようになりました。
転職活動では、好奇心旺盛でフランクな性格のBさんに合う、社内の風通しが良くコミュニケーションも活発な社風の企業を選定させていただき、結果Bさんは複数の企業から内定を獲得されました。
「関西外でクライアントに貢献したい!」監査法人からコンサルへの転職成功事例

Aさん(26歳・男性)資格:公認会計士
Big4監査法人
年収600万円


Big4コンサルティングファーム
年収580万円
大学在学中に公認会計士試験に合格したAさんは、大手監査法人に就職し、上場企業の財務諸表論監査を経験されてきました。
順調に監査法人でのキャリアを積んでいるように感じていましたが、クライアントと接していく中で、監査にとどまらずさらにクライアントに貢献出来る方法はないかと考え始めました。
初めてのご相談の際は、PEファンドに転職したいを漠然とお考えでしたが、面談の中で「クライアントに貢献したい」という転職活動の目的を再確認し、最終的にFAS系のコンサルティングファームに応募されました。
最終的に、コンサルという未経験分野でも熱意をもって取り組めるという評価から、年収は若干下がってしまったものの、「本当にやりたいこと」を叶える転職は成功されました。
まとめ
仕事につまらなさを感じることは、公認会計士に限ったことではなく、どのような職業でも多かれ少なかれ「つまらない」と思える部分はあるでしょう。
つまらないからと言って、その仕事が不必要であるわけではなく、結局誰かがやらなければならない仕事であり、コツコツまじめに取り組むことで将来役に立つことがあるかもしれません。
例えば、プロサッカー選手がなかなかゴールを決められず、試合にも負け続けたとして、「つまらないからもうやめた」と考えるでしょうか。
ほとんどの選手は「気持ちを切り替えて」前向きにチャンスを狙い、練習を重ねることでスランプを乗り越えることを考えるはずです。
公認会計士も同じように、自分自身のやり方や考え方を見直すことで、つまらなさを乗り越えることができるのではないでしょうか。
転職を考える際には、しっかりと自分の求める条件やキャリアプランを明確にし、適切なタイミングでアクションを起こすことが大切です。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。
会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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会計士の転職・キャリアに関するFAQ
監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。
具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。
転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。
キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。
ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?
一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。
監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。
事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。
40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。
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