資格なしで転職できる?大手監査法人が求める公認会計士のスキルとは

監査法人は、大手・中小ともに採用を活発に行っていますが、監査法人の規模によって今後のキャリアは大きく変わります 。
大手監査法人と中小監査法人では担当する業務の範囲も異なるため、公認会計士の転職には監査法人ごとのニーズの把握が重要となります。
この記事では、監査法人の転職動向、監査法人へ転職するためにはどうすればいいのかを解説します。
さらに、弊社の転職支援サービスを通じて転職に成功した事例を、
・『中堅から大手監査法人への転職』
・『一般事業会社から監査法人へのキャリア採用』
の2つに分けてご紹介します。
今後のキャリアのご参考にしていただけますと幸いです。
公認会計士の需要は?監査法人の転職動向
コロナ禍以前の2019年頃までは、国内企業の海外進出や海外企業の日本への進出が活発に行われ、国際会計基準への対応が必要となる企業が増えていました。
M&A、IPOに関するコンサルティングのニーズも増加傾向にあったといえます。
そのため、監査法人においても人手不足の状況が続き、転職市場は完全な売り手市場でした。
ところが2022年現在、コロナ禍の影響によって多数の業界で求人数が減少し、監査法人もその例外ではなく、人材採用に慎重になる傾向が見受けられます。
緊急事態宣言が繰り返し発出される中、一般企業における活動はコロナ禍以前よりも大幅に抑制されているのが現状です。
企業活動が縮小されている以上、監査法人の活動も縮小せざるを得ません。
そうなると必然的に以前のような人手不足ではなくなり、転職市場は売り手市場とはいえない事態になっています。
それでも監査法人の中にはこの状況を逆に人材確保の機会と捉えて、キャリア採用を積極的に行っているところもあります。
市場全体における人材へのニーズが減っているということは、優秀な人材を確保しやすいとも判断できるでしょう。
コロナ禍以前なら複数の監査法人から内定をもらうような人材であっても、多くの監査法人で採用を控えている現在のような状況であれば、採用できる可能性が高まると考えるわけです。
つまり、優秀な人材を狙ってキャリア採用を行っている監査法人に対して、それに見合ったスキル・実績があることを示すことが出来れば、スムーズに採用まで話が進みやすいといえます。
即戦力となる社会人経験者ほど、現在の転職市場では有利であるわけです。
監査法人への転職を考える際、「自分の実力ならば条件をクリアしている」と考えられる求人をまずは探してみましょう。
監査法人へ転職するには会計士に求められるニーズの把握が重要
公認会計士試験合格もしくは公認会計士資格は一般企業では希少なため重宝されますが、監査法人では全員が当然所持しているので、転職に当たっての最低条件ともいえます。
そのため、監査法人へ転職するには、公認会計士資格に加えて「+α」のアピールポイントが必要です。
例えば、監査法人のアドバイザリー部門における求人であれば、企業のリスク管理全般、内部監査・内部統制評価、サイバーセキュリティ・データマネジメントなどの実務経験を積むと、より転職を有利に進められるでしょう。
監査法人に限ったことではないですが、監査法人業界においても求める人材に対して、その内容に見合ったスキル・実務経験・資格をもっているかどうかは、転職を成功させるカギといえます。
監査法人が公認会計士に求める「+α」のスキルや資格を理解し、転職を成功させましょう。
監査法人ごとの特色
まず監査法人は組織規模によって特色が異なります。
分かりやすい線引きとしては、Big4(有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwC Japan有限責任監査法人)と中小監査法人との違い、という点を挙げられるでしょう。
Big4では数百人規模で公認会計士が在籍しており、実務経験豊富な人材も多く、転職の際に求められる能力・実績は高いです。
また、待遇が良いだけに転職を希望する人も多く、内定を勝ち取るまでの過程で熾烈な競争も生じます。
面接の際はそれまでのキャリアや経験が厳しく問われ、監査法人によっては学歴が重視されることもあるようです。
一方中小監査法人の場合、人材不足に直面している法人も多く、Big4に比べると採用までのハードルは低めだといえます。
しかし採用後のポジションにもよりますが、大手監査法人に比べると給与水準が低い傾向にあります。
さらに規模だけでなく、監査法人ごとの得意分野・注力分野によって、求められるスキルが変わってきます。
法人ごとに海外案件に強い、コンサルティングに力を入れている、M&A案件の取り扱いが多いなどの特徴があり、それぞれの分野に応じたスキルや実績があれば、転職は成功しやすいです。
監査法人が公認会計士に求める人物像とは
法人の規模によっても変わりますが、一般的に監査法人では膨大な監査業務を任されます。
一つの案件ごとに時間をかけてコツコツと取り組んでいては、すべての業務をこなすことはできません。
そのため、監査業務をスピーディー且つ正確にこなせる職人気質の人が求められる傾向があります。
もし外資系企業や海外関連の案件が多い法人ならば、語学力をアピールすることも大事です。
英語力が基本ですが、中国語やフランス語、ドイツ語などその監査法人が求める言語能力を有していれば、転職を有利に進められます。
監査法人の特色に合わせたアピールをすることが重要なのです。
監査法人への転職成功のポイントは、自己分析と法人研究にあるといえるでしょう。
自己分析を行う際は、公認会計士資格に加えて自分にどのような実績、スキル、資格があるのかを冷静に評価する必要があります。
そして自己分析の内容にマッチした求人がないか、各監査法人をしっかりと研究しましょう。
自分の実力と求人内容が釣り合えば、転職は自ずと成功します。
監査法人への転職成功事例
監査法人への転職成功事例を見てみましょう。
中堅監査法人から4大監査法人への転職を決めたYさん
Yさん、31歳/男性
転職前:中堅監査法人(人数:100名) (年収:750万円)
転職後:Big4監査法人 (人数:6000名)(年収:800万円)
公認会計士試験に合格し、中堅監査法人に入社して幅広く経験を積んできた30代前半の男性Yさん。ただ、クライアントの企業規模が小さく、上場企業の監査業務は少なかったため、「もっと最先端の監査を経験したい」と4大監査法人への転職を決意します。
弊社からご紹介した求人からYさんが特に関心をもったのは、4大監査法人の大手総合商社やグローバルメーカーをクライアントに抱える部門でした。面接ではこれまでの経験を細かく質問されましたが、中堅監査法人ならではの経験の幅広さと、インチャージ経験もあったことが高く評価され、内定を獲得しました。
⇒詳しく見る
一般事業会社から中堅監査法人への転職を決めたNさん
Nさん、34歳/女性
転職前:一般事業会社 (人数:100名) (年収:700万円)
転職後:中堅監査法人 (人数:200名)(年収:700万円)
公認会計士試験に合格後、4大監査法人に2年間勤務した後、非上場の一般事業会社に勤務していた30代前半の女性Nさん。改めて監査法人で勤務したいと、弊社にご相談いただきました。
監査法人ではインチャージ経験を積んでいなかったため、最初の希望だった4大監査法人への転職活動には苦戦したNさんでしたが、キャリアアドバイザーのアドバイスにより中堅監査法人への志望に変更。その結果、職位はスタッフではあるものの、初年度の年収はシニア相当との提示があった中堅監査法人への転職を決めました。
⇒詳しく見る
まとめ
積極的に採用を行っている監査法人。
「人材バブル」とまで呼ばれる採用市場の活況は、今後も継続する見通しです。
一方で公認会計士全科目合格や公認会計士資格だけでは監査法人への転職が難しいケースもあります。
資格に加えてどのような経験・実績、スキルがあるのかを改めて整理し、選考を希望する監査法人に合ったアピールをする必要があります。
「監査法人へ転職したい」と考えている人は、ぜひ弊社にご相談ください。自身が思い描くキャリアに向けて、サポートさせていただきます!


この記事を監修したキャリアアドバイザー

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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大手上場企業や監査法人、会計事務所(税理士法人)など、公認会計士の幅広いキャリアフィールドをカバーする求人をもとに、公認会計士専門のキャリアアドバイザーがあなたの転職をサポートします。
キャリアカウンセリングや応募書類の添削・作成サポート、面接対策など各種サービスを無料で受けることができるため、転職に不安がある公認会計士の方でも、スムーズに転職活動を進めることができます。

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ
監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。
具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。
転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。
キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。
ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?
一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。
監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。
事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。
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