2024年10月30日

会計士の繁忙期は何月?具体的な業務スケジュールも解説!

公認会計士の就職先は多岐に渡るため、担当する業務やクライアントの属性により、繁忙期は異なります。
そのため、この記事では監査法人に所属する公認会計士に焦点を当て、大手監査法人の一般的な監査先である「3月決算の上場企業」を担当した場合の年間スケジュールについて解説します。
以下を参考にしていただくことで、公認会計士として実際に就業しているビジョンを鮮明に描きやすくなります。

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会計士の繁忙期に傾向はあるのか?

監査法人に所属する公認会計士の繁忙期は、クライアントの会計期間と密接に関連しています。
監査対象となるクライアントの多くは上場企業で、その大半が会計期間を3月期末・4月期初と設定しています。
そのため、年度末決算が3月、四半期決算が6月・9月・12月となり、これらの月の1カ月前後が繁忙期となる傾向があります。

会計士が担当する主要な業務として、年度末の「有価証券報告書」や「決算短信」、「四半期の短信」・「四半期報告書」の作成・提出があります。
これらの報告書は、企業の財務状況や業績を株主や投資家に公表する重要な情報を記したものであり、それぞれ提出期限が定められています。

「有価証券報告書」は、事業年度終了後から3カ月以内に提出しなければならないため、3月期末企業では、4月から6月にかけて対応に追われます。
また、「決算短信」は取引所によって事業年度終了後45日以内の提出が適当とされており、それ以前の30日以内の提出が望ましいとされています。
このため3月期末企業では、「有価証券報告書」と「決算短信」の対応が重なる4月中旬から5月初旬が忙しくなる傾向にあります。

さらに、「四半期報告書」は、四半期終了後45日以内に提出することが義務付けられています。
したがって、3月期末企業では、四半期決算月(6月、9月、12月)の翌月から1カ月半後にかけて四半期報告書の作成に追われます。
「四半期の短信」は、四半期報告書より前に取引所に提出することが適当であり、30日以内が望ましいとされています。
これらをまとめると、第1四半期の対応のために7月から8月半ばにかけて、第2四半期の対応のために10月から11月半ばにかけて、第3四半期の対応のために1月から2月半ばにかけてが繁忙期であるといえます。

有価証券報告書は期限内の提出が義務付けられており、やむを得ない事情がある場合は延長を認められるケースがありますが、忙しさを理由にした延長は認められません。
提出期限が適当とされていたり、望ましいとされていたりする短信も、期限内に提出しなければクライアント企業の信用が損なわれるなどのリスクが生じるため、公認会計士は忙しさに追われながらもスケジュール通りの対応が必須となります。

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会計士の1年間の業務の流れと繁忙度合いを解説!

会計士の1年間の 業務の流れと 繁忙度合いを解説

会計士の1年間の業務は、決算期や四半期末に向けた各種監査やレビュー、報告会への参加など多岐にわたります。

3月決算のクライアントの場合、1年間の監査スケジュールの始まりは7月頃です。
キックオフミーティングを開催してクライアント企業への理解を深め、情報を共有し、監査業務の進行方向や大まかな流れを含む監査計画を立てます。

7月中旬から8月上旬には、第1四半期のレビュー報告書の作成を行います。
四半期のレビュー報告書は、一般に公正妥当と認められる基準に沿って四半期財務諸表が作成されており、すべての重要な点において、その企業の経営状況を適正に表示していない可能性がないだろうことを監査人が感想を述べるものです。

その後、夏休みを挟んで、8月下旬から期中監査が始まります。
期中監査は年度末の監査の準備として重要な業務のひとつであり、内部統制の検証、支社や工場および海外子会社への現場視察やヒアリングを行うなど往査します。

9月には、経営者とのディスカッションを設け、監査業務の進行状況や、今後の方針などについて話し合います。
その後、10月中旬から11月上旬にかけては第2四半期のレビュー、11月中旬から12月下旬には再度の期中監査が行われます。

新年を迎え、1月中旬から2月上旬には第3四半期のレビューを行い、2月下旬から再び期中監査が始まります。
また、期末日付近には、実地調査棚卸しの立会いなど、より具体的な監査作業を行います。

4月中旬から5月上旬にかけては期末監査が行われ、監査結果を取りまとめます。
その後、5月中旬に監査結果を監査役会に報告し、5月下旬から6月上旬には有価証券報告書のチェック作業を行います。
そして、6月下旬の定時株主総会をもって、1年間のサイクルが終わります。

このように、会計士の1年は四半期ごとのレビューや期中監査、期末監査など、決まったスケジュールに沿って進んでいくため、繁忙期も定期的に訪れます。
おおよそ四半期毎のサイクルで会計士の業務が進んでいくことから、四半期レビューの時期が繁忙期であるといえるでしょう。
なかでも、4月中旬~5月上旬、5月中旬、5月下旬~6月上旬にかけては、期末監査や監査役会への報告、有価証券報告書の最終チェック作業などに追われることから、一年の中でも最も忙しい時期となります。

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会計士が長期休暇を取りやすい時期は?

会計士はおおよそ四半期毎のサイクルで1年のスケジュールが構成されるため、繁忙期が過ぎれば業務が落ち着く時期も訪れます。
具体的には、8月中旬~9月中旬と、11月中旬~12月下旬の2つの期間が業務の落ち着きやすい時期であり、この時期に合わせれば長期休暇も取りやすくなります。

クライアントが3月決算の会社の場合、6月後半くらいから7月に新年度の監査契約を結ぶことから、監査法人の期初は7月であることが多いです。
そのため、7月は年度末監査の対応が落ち着いているものの監査計画を立てたり、キックオフミーティングに参加したりと忙しくなる傾向があります。
その後、7月中旬から8月上旬にかけて第1四半期のレビューを行います。

第1四半期のレビューを終えれば、次の四半期レビューが始まる10月までの間は、比較的業務が落ち着くため、8月中旬~9月中旬に長期休暇を取る会計士も少なくありません。
ちょうど世間の夏季休暇の時期と重なることもあり、心情的にも休暇を取りやすい時期ともいえるでしょう。

11月中旬から12月下旬の期間も、四半期レビューが終わった後であり、年度末監査の準備が始まる前というタイミングで、業務が比較的落ち着く時期といえます。
この時期も多くの人々が年末年始の休暇を取るタイミングと重なるため、スケジュールを調整して長期休暇を取りやすいといえます。

しかし、外資系企業をクライアントに持っている場合には状況が異なります。
外資系企業は12月を期末としている場合が多いため、11月中旬から12月下旬にかけての時期は期末監査の準備で忙しくなることもあります。

今回、ご紹介したのはクライアントが3月決算の会社の場合なので、会計期間が異なっていれば休暇を取りやすい時期も異なってきます。
しかし、監査法人のクライアントは大半が上場している日本企業であるため、8月中旬~9月中旬と、11月中旬~12月下旬の2つの期間は休暇を取得しやすい、という状況はほぼ当てはまることでしょう。

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まとめ

クライアントの会計期間に合わせて期間厳守で業務に従事する会計士の1年は、通年通して慌ただしさを感じる傾向があります。
しかし、四半期ごとのサイクルで進むため、休暇を取りやすい時期が読みやすいことはメリットと言えるでしょう。
長期休暇を取りやすいとされる8月中旬~9月中旬と、11月中旬~12月下旬の2つの期間は、それぞれ盆休み、年末年始の時期と重なっているため、会計士業界以外の家族や友人とスケジュールを合わせやすいのも魅力です。

会計士といえば忙しいというイメージが先行しがちです。
しかし、これまでご紹介してきたように1年を通じてスケジュールを眺めてみると、四半期ごとのサイクルが決まっているため、オンオフのメリハリをつけてワークライフバランスを取りやすいといえるのではないでしょうか。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

森澤 初美

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ

監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。

具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。

転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。

キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。

ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?

一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。

監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。

事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。

40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。

企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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