【経理の市場価値を高める方法】必要なスキル・経験や求人例など

近年、AIやRPAなどのIT技術が進化したことで、経理業務の自動化が進んでいます。
そのため、これからの経理担当者には、IT技術に代替されない専門的なスキルを身につけ、自身の市場価値を高めていくことが求められます。
この記事では、経理の市場価値を高める方法や必要なスキル・経験などを解説します。
また、市場価値向上が期待できる求人例なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
市場価値が高い経理担当者とは
経理は、企業活動に伴うお金の流れを管理する役割を担っています。
市場価値が高い経理担当者とは、日々の経費精算や伝票入力を正確にこなすだけでなく、企業の成長に貢献できる人材です。
企業の財務状況を深く理解し、経営課題の発見や改善策の提案ができる人は高く評価されるでしょう。
現代の経理には、過去の数字を整理してまとめるだけでなく、未来を見据えて経営をサポートする「攻めの姿勢」が求められています。
市場価値が高い経理業務とは
次に、経理業界で市場価値の高い業務を6つ紹介します。
連結決算
連結決算とは、子会社や関連会社を持つ大手企業において、グループ全体の財務状況を一つにまとめる決算方法です。
グループ各社の個別財務諸表を集約し、グループ全体としての財産や損益を正確に計算するスキルが求められます。
単に子会社の数字を集計するだけでなく、子会社間の取引を消去する「相殺消去」など、複雑な会計処理の知識が必要です。
連結決算は専門性が高く、企業経営に関する幅広い知識が求められる業務であるため、転職市場でも高く評価されます。
連結決算の構成や流れは「連結決算とは?転職にも有利?転職成功事例と合わせて徹底解説!」で詳しく解説しています。
IPO準備
IPO(新規株式上場)準備企業において、経理部門は、正確な財務諸表の作成や経理規定・業務フローの整備、予実管理など、重要な役割を担います。
上場までの流れを経験した経理担当者は、同じくIPOを目指す企業から非常にニーズが高いと言えるでしょう。
IPO準備における経理の役割や仕事内容については、「IPO準備企業における経理の役割・転職メリット・キャリアパスを紹介!」をご確認ください。
金融機関対応
金融機関対応とは、銀行との融資交渉や、資金調達に関する業務のことです。
企業成長には適切な資金調達が不可欠であり、金融機関の担当者に対し、財務状況を正確に説明し、信頼関係を築くことができる経理担当者は市場価値が高いでしょう。
金融機関対応では、企業の事業計画や財務状況を深く理解するだけでなく、分かりやすく説明する力と、契約を取り付けるための交渉力が求められます。
資金調達にあたって、資金繰り計画の策定や資料作成などを経験することで、経理としての市場価値を高めることができるでしょう。
監査法人対応
監査法人対応は、公認会計士による会計監査を経理部門が主体となって対応する業務です。
上場企業やその子会社、一定規模以上の企業では、会計監査人による監査を受けることが義務付けられています。
監査法人とのやり取りでは、専門的な質問に対して的確に回答する知識が求められ、会計基準や関連法規に関する深い理解が必要です。
また、自社の会計処理が適正であるかを第三者の視点から検証する経験を積むことができます。
監査法人対応の具体的な内容については、「監査対応って何をすればいいの?準備する書類や注意すべきポイントなど」をご確認ください。
IFRS(国際会計基準)
IFRSは、多くの国で採用されている国際的な会計基準であり、グローバル展開する企業や海外子会社を持つ企業では、IFRSに関する知識を持つ経理人材が不可欠です。
日本国内でもIFRSを任意適用する企業が増えており、今後さらに需要が高まることが予想されます。
IFRSの知識は、活躍の場をグローバルに広げるだけでなく、国内のM&Aや資金調達といった場面でも高く評価されるでしょう。
IFRSについて詳しく知りたい方は「IFRS(国際財務報告基準)を経験していると大手企業の経理に転職しやすいのか?」をご覧ください。
マネジメント
経理部門のマネジメント経験は、市場価値を飛躍的に高めます。
現場で担当者として実務をこなすだけでなく、チーム全体の目標設定や業務分担、人材育成、そして部門の予算管理などを統括する能力は、次世代のリーダー候補として期待されるでしょう。
また、マネジメント業務の経験を持つ経理担当者は、経営視点に立った思考力を持ち合わせていると見なされます。
これは、将来的にCFO(最高財務責任者)や経営企画などのキャリアパスを開く上でも非常に重要な要素です。
経理の管理職に就くために必要な経験・スキルなどは、「【経理の管理職】役割や昇進に必要な経験・スキル、求人例など」をご確認ください。
経理として市場価値を高める方法
専門知識を深める
前述の通り、基礎的な業務経験だけでは、経理としての市場価値を大きく高めることは困難です。
日々の定型業務をこなすだけでなく、専門性を深めるための継続的な学習が求められます。
高度な専門性が必要な業務に携わることで、市場価値の向上につながります。
社会的な評価の高い経理関連資格を取得する
経理として市場価値を高めるためには、社会的な評価の高い資格を取得することも有効です。
日商簿記は経理資格として最も認知度の高い資格ですが、取得者が多く、差別化が難しい可能性が高いでしょう。
公認会計士や税理士は会計・税務に関する国家資格であり、難易度の高さから経理業務に対する専門性を証明できます。
社会的に評価の高い資格は、自身の知識やスキルを客観的に証明する上で有効な手段となります。
管理職に就く
管理職に就くことも、市場価値を大きく高める方法の一つです。
経理部門の管理職としてマネジメント経験を積むことで、チームをまとめ上げるリーダーシップやプロジェクトを成功に導く計画性を証明できます。
管理職になると、部門全体の予算や戦略を考えることが求められるため、経営者と同じ視点で物事を捉える力も養われるでしょう。
市場価値が高い業務を経験できる企業に転職する
現在の職場で、市場価値が高い業務に携わる機会が少ないと感じる場合は、転職を検討しても良いでしょう。
上場企業での連結決算やベンチャー企業でのIPO準備など、新たな環境に身を置くことで、市場価値を飛躍的に高めることができます。
転職活動では、求人情報の仕事内容欄を確認することが重要です。
また、面接の場においても、担当業務の範囲や経理部門の人員体制・役割分担、昇級規定などを質問し、希望する業務に携われるか、細かく確認しましょう。
市場価値が高い業務を担うポジションは、経理部門の中でも重要なポジションであるため、一般的な転職サイトでは希望を満たす求人が見つかりにくい可能性があります。
求人が見つからない場合は、経理に特化した転職エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントでは、転職希望者と採用企業が求める条件を双方満たした場合にのみ紹介される「非公開求人」を取り扱っています。
非公開求人では、応募が殺到しやすい大手企業や管理職など、様々なポジションの募集が行われています。
市場価値向上が期待できる経理求人例
弊社MS-Japanは、経理を含む管理部門と士業に特化した転職エージェントとして、35年以上の実績があります。
ここでは、MS-Japanが取り扱う求人の内、市場価値向上が期待できる経理求人の一例をご紹介します。
M&A・連結決算に挑戦できるプライム上場企業の経理
仕事内容 |
はじめはグループ各社の単体決算を中心に、その後連結決算・監査法人対応・開示書類作成等の上場企業ならではの業務を担当していただく想定です。 ・月次決算、四半期決算、年次決算業務 などの決算対応全般 ・連結決算サポート ・監査法人対応サポート ・開示書類の作成サポート ・法人税等申告サポート ・その他上記に付随する業務全般 |
必要な経験・能力 |
・月次決算の経験(上場・非上場・会計事務所等、経験領域不問) |
想定年収 |
500万円 ~ 650万円 |
AI×経営管理の専門性が身につく急成長中IT企業の経理(管理部長候補)
仕事内容 |
将来のIPOを見据え、管理/経理部長候補として以下の業務をお任せします。 ・経理財務基盤の構築と運用 (会計処理・基準の論点整理・整備・運用、システム導入・運用・改善) ・M&A関連業務 (ソーシング・エグゼキューション、PMI) ・財務戦略・経営管理 (予算策定・予実管理、キャッシュフロー管理、経営分析・意思決定支援) ・税務戦略 (税務申告業務の統括、タックスプランニング) ・チームマネジメント など |
必要な経験・能力 |
以下①②のいずれか、かつ③ ①事業会社の経理責任者または管理部長としての経験3年以上 ②監査法人の監査経験(シニアマネージャークラス)と事業会社の経理経験3年以上 ③5名以上のメンバーをマネジメントした経験 |
想定年収 |
1,000万円 ~ 2,000万円 |
代表直下で成長を感じられる経理マネージャー候補
仕事内容 |
代表直下の部署にて、グループ全体の経理業務に携わっていただきます。 同社の発展を経営に近いポジションからサポートしていくことがミッションです。 ・月次、年次決算業務 ・税務申告書作成 ・地域本部の月次のレポーティング ・制度対応 ・一部、総務(電話・来客対応、備品管理、庶務、イベント運営等) |
必要な経験・能力 |
下記いずれか ・経理実務経験3年以上 ・税理士法人でコンサルタント経験2年以上 |
想定年収 |
600万円 ~ 900万円 |
転職で市場価値を高めた経理担当者の事例
最後に、MS-Japanを活用して、市場価値向上に成功した経理担当者の転職事例をご紹介します。
- Hさん(26歳、男性)
- 転職前:売上高20億円弱の中小企業(人数:70名)
- 転職後:売上高5兆円の上場企業(人数:3万7000名)
- 資格:簿記1級、TOEIC800点
Hさんは、中小企業の経理スタッフに約2年間従事し、月次・年次決算補助業務まで担当していました。
経理業務をこなす中で、今後は上場基準での会計に携わっていきたいと考え、転職を決意しました。
また、在籍していた企業は規模が小さく、将来的な年収の伸びしろも不安を感じていると弊社にご相談いただきました。
Hさんは、転職先として上場企業を目指し、中でも東証プライム上場企業をターゲットにしたいと考えていました。
武器となる資格を保有しているものの、上場企業での経理経験が必須である求人も多いため、非上場経験でも応募できる上場企業は積極的に受けていくことをおすすめしました。
結果として、Hさんは売上高5兆円の上場大手企業から内定を獲得することができました。
まとめ
IT技術の発展により、経理の仕事は変化していますが、IT技術に代替できないスキルを持つ市場価値の高い経理人材の需要はむしろ高まっていると言えるでしょう。
自身の市場価値を高めるためには、基礎的な経理業務だけでなく、連結決算やIPO準備、金融機関・監査法人対応、IFRS、マネジメントなど、専門性の高い業務の経験を積むことが重要です。
本記事で紹介した内容を参考に、自身のキャリアプランを再検討してみてはいかがでしょうか。
キャリアの方向性に迷っている方や、まず現在の自分の市場価値を把握したい方は、弊社MS-Japanにご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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