経理から財務へキャリアを広げる|資金調達・資本政策で活躍できる人材とは(後編)

この記事は後編です。前編の記事はこちらをご確認ください。
前編では、経理から財務へとキャリアを広げる重要性と、その背景にある企業の資金戦略ニーズの高まりについて解説しました。
特に、経理経験を基盤に「守り」から「攻め」へと視点を転換し、外部折衝や資金調達に関与できるハイブリッド人材が求められている点を紹介しています。
引き続き後編では、転職市場で高く評価される財務スキルの具体的な要素や、職務経歴書・面接での効果的なアピール方法、さらに経理からCFO候補へと飛躍した成功事例をもとに、キャリアを戦略的に広げる実践ポイントを解説します。
転職市場で評価されるポイント:財務経験の希少性と即戦力性
財務実務経験を持つ人材は、管理部門の転職市場において供給が極めて少なく、採用企業から「希少な即戦力」として極めて高い評価を受けます。
なぜなら、採用企業が求める「財務経験あり」の最低ラインとして、具体的には、以下の経験のうち複数を主導した実績が求められます。
- ・プロパー融資の実行経験
- ・コミットメントライン契約の締結主導
- ・メインバンク以外を含む複数行との折衝・条件交渉
これらの経験は、日常的な経理業務の延長線上にはなく、経験者自体が市場では稀少です。
特に30代などの若手層で、主計経験に加え、これらの「外向き」の経験を少しでも有している場合、その戦略的な関与度が高く評価され、大きな武器となります。
経理として損益重視の会計ベース思考に偏らず、いかにキャッシュベースの視点を持って業務に臨み、資金の流れの最適化に貢献したかが、あなたの市場価値を決定づける鍵となります。
アピール方法:職務経歴書での「定量効果」と面接での「戦略性」
経理から財務へのキャリアチェンジを目指すなら、職務経歴書では「具体的な定量効果」を、面接では「財務戦略への関心と実務関与の深さ」を明確に打ち出すことが必須です。
職務経歴書には、単に「借入交渉を実施」と記載するのではなく、目的の明確化と交渉の工夫・成果を具体化しましょう。
「運転資金の安定化を目的にコミットメントライン契約を締結」や「既存取引行との条件改善交渉により金利を0.3%(または30bps)引き下げ、年間支払利息を○○万円削減」といった具体的な目的、工夫、定量効果を記載し、実行難易度を際立たせます。
面接では、「数字を作る」立場から「数字を使って提案する」立場へシフトしたい動機を論理的に説明し、「PL/BSを説明する際、キャッシュイン・アウトのタイミングまで言及していた」といった、前職での「財務的視点」を持っていた具体的な行動を伝えましょう。
この過去の行動こそが、企業が求める「会計数値を未来の資金行動に変換できる力」の証明となります。
成功事例:経理マネージャーからベンチャーCFO候補への飛躍
経理マネージャーとして培った「管理能力と正確性」をベースに、成長企業やベンチャー企業の「財務責任者(CFO候補)」へと飛躍したケースは、経理から財務へのキャリアシフトの成功を象徴しています。
この成功者に共通するのは、「会計数値を未来の資金行動に変換できていた」という「財務的視点」です。
例えば、ある上場企業子会社で主計を極めた経理マネージャーの事例です。
経営に近い領域での貢献を志し、シリーズB調達を控えるITベンチャーへ転職を果たしました。
この方は、前職で資金繰り表を「作る」だけでなく、支払サイトの見直しなど改善提案まで行っていた経験をアピールし、入社後にエクイティ調達における投資家向け資料作成とデューデリジェンス対応を主導しました。
経理知識による資料の正確性が投資家への説得力を高め、目標額の資金調達を成功させました。
これは、経理経験が「守り」の強固な基盤となり、「攻め」である財務戦略の成功を確実にした好例です。
まとめ|経理+財務スキルは市場で最強の武器になる
経理の「正確性・分析力」と財務の「戦略性・交渉力」を併せ持つ「ハイブリッドな専門性」こそが、あなたのキャリアを大きく広げ、市場価値を飛躍的に高める「最強の武器」となります。
企業が常に成長と変革を求められる現代において、「過去の成績表」を作成できる力と、「未来の資金戦略」を実行できる戦略眼を併せ持つ人材は、まさに経営の中核を担う存在です。
特に30代・40代というキャリアの最も重要な時期に、現在の「内向き業務」から、社外との折衝を含む「外向き業務」へ意識的に関与し、財務スキルを確立することが、CFOや経営層といったトップマネジメントへのキャリアパスを確実にします。
現在の経理業務の中で、資金繰りや銀行折衝といった財務寄りの業務に、「経営判断をサポートする」という戦略的な意識を持って深く関与することが、最初の一歩です。
管理部門・士業の転職に特化し、独自の求人情報を保有するMS-Japanでは、このダブルスキルを最大限に活かし、CFO候補などより価値の高いポジションへシフトするための戦略的な転職支援を行っています。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

横浜国立大学卒業後、電気系の総合商社に新卒で入社し法人営業に従事。
その後、キャリアアドバイザーとしてMS-Japanへ入社。現在は人事総務・経理領域担当として転職支援に従事しております。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 社会保険労務士事務所 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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