2023年09月14日

公認会計士から公務員に?任期付き公務員とは?

公認会計士としての経験を積んできた方が、なぜ公務員としての道を選ぶのでしょうか。
理由の一つには、「任期付き公務員」の制度が注目されていることにあります。
これは、特定分野での専門知識や経験を活かし、一定期間の契約で公務に従事する制度です。

本記事では、任期付き公務員の給与体系や求人探しの手段、実際の求人例などを解説します。

任期付き公務員とは

そもそも「任期付き公務員」とは、どのような公務員を指すのでしょうか。
以下に、その実体について踏み込んでみましょう。

任期付き公務員の概要と趣旨

任期付き公務員(特定任期付職員)とは、行政の高度化や多様化、国際化に対応し、公務員の採用において民間人材の活用を促進するために導入された制度に基づく職員です。
この制度は、専門的な知識や経験を持つ人材を一定期間採用し、高度な専門業務に従事させることで行政の能力向上を図ることを目的としています。
任期付き公務員の採用により、行政組織に外部からの専門知識や新しい視点がもたらされ、より効果的で柔軟な業務遂行が可能です。

どのような場合に任期付き採用が行われるの?その任期は?

任期付き採用は、以下の場合に行われます。
例えば、公認会計士や弁護士といった高度な専門知識と経験値を一定期間活用する必要がある場合です。
また、特定の分野で高い評価を受けた者や幅広い知識と創造性を持つ者が、優れた識見を有している場合も該当します。
さらに、急速に進歩するグローバル化やIT技術に関連した専門知識を有効に活用できる業務においても、任期付き採用が行われます。

任期の長さは具体的な業務や職種によって異なりますが、原則として5年以下の期間です。
任期が5年に達しない場合は、採用した日から5年を超過しない範囲で任期が更新されることもあります。

任期付き公務員制度は、行政の柔軟性と能力向上を促進する一環として、重要な役割を果たしているのです。

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任期付き公務員の給与は?

給与については、任期付きとは言え公務員である以上、一定水準の金額に期待できそうです。
以下で、任期付き公務員の給与体系を見てみましょう。

給与テーブル

給与テーブルは、任期付き公務員の俸給月額を定める基準です。
専門知識や経験、従事する業務の困難さや重要性に基づいて号俸という段階的なランクが決定され、そのランクに応じて俸給月額が設定されます。
号俸の範囲内で、職員の能力や責任に応じて適切な俸給が支給されるしくみです。

【任期付き公務員の給与テーブル】

号俸 俸給月額(円)
1 376,000
2 422,000
3 472,000
4 533,000
5 608,000
6 710,000
7 830,000

業績手当

業績手当は、職員の優れた業績や成果を評価し、その貢献に対して追加の報酬を提供する制度です。
任期付き公務員の中で、特に顕著な業績を挙げた職員には、俸給月額に相当する額を業績手当として支給されます。
プラスアルファの支給は、個人のモチベーションや努力を奨励し、組織全体のパフォーマンス向上を促す目的があります。

支給されない手当・支給される手当について

任期付き公務員は、給与法に規定されている昇給制度が適用されません。加えて、扶養手当や住居手当、超過勤務手当、勤勉手当なども適用対象外です。
ただし、交通機関利用者に支給される通勤手当は支給されます。

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任期付き公務員になるには

任期付き公務員になるには?公認会計士から任期付き公務員を目指すには、効率的な求人探しの手段を選択することが賢明です。
以下、アプローチに役立つ情報になります。

求人を探すには?

各省庁や人事院のサイトから探す

各省庁のホームページや人事院の採用情報NAVIでは、公認会計士資格の有無を問わず、幅広い求人が出ています。
特定分野の任期付き公務員に興味を持っている方は、随時チェックすることをおすすめします。

JICPAの求人情報から探す

JICPA(日本公認会計士協会)では、官公庁や団体における求人の内、公認会計士対象の求人情報をまとめています。
不定期に更新されているため、こちらも併せてチェックしてみてください。

▶JICPA「省庁等からの求人情報」

求められる経験

基本的に、公認会計士としての実務経験は求められますが、若手からベテランまで、経験年数を問わず応募が可能です。
例えば、農林水産省の「大臣官房検査・監察部」の募集における応募条件は、「公認会計士の資格を有し、財務書類の監査業務に従事した経験を有する者」とあります。また、証券取引等監視委員会の「金融商品取引業者に対する検査職員」の募集でも、「公認会計士として会計監査業務または不正調査業務の経験」が応募条件です。
いずれの応募条件も、経験年数の指定がないため、経験の浅い若手でも応募できます。

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どういった募集があるのか。任期付き公務員の求人例

JICPAのWEBサイトから、募集中の任期付き公務員の求人を以下にピックアップしました。
一般的な求人媒体で掲載される内容に比べて情報量は少なめです。
実際に問い合わせてみないと勤務実態がわかりづらいかもしれませんが、興味がある方はご参照ください。
※応募状況により、募集が終了している場合があります。

任期付職員(公認会計士)の募集について(大臣官房検査・監察部)

【職種】
農林水産省大臣官房検査・監察部検査課検査官

【職務内容】
財務・会計等の高度な専門知識・経験又は優れた見識を活かして、協同組合系統組織等の検査業務等に従事

【応募条件】
公認会計士の資格を有し、財務書類の監査業務等に従事した経験を有する者

【雇用期間】
雇用開始日は要相談
(原則として2年程度。勤務成績や業務の必要性に応じ、当初の雇用期間を更新して任用される可能性があります)

▶詳しくはこちら


【証券取引等監視委員会】職員の募集について

【職種】
金融商品取引業者等に対する検査に従事する職員

【職務内容】
金融商品取引業者等に対して検査及びモニタリングを実施し、業務の運営や法令違反行為の有無などの検証を行う。

【応募条件】
公認会計士の資格を有しており、会計監査業務又は不正調査業務の経験を有している方。
証券会社等に対する会計監査業務に従事した経験があると望ましい。

【雇用期間】
採用時から原則として2年程度。
(勤務成績や業務の必要に応じて、当初の雇用期間を超えて任用される可能性があります)
※ 勤務開始日は相談に応じます。

【証券取引等監視委員会】職員の募集について

【職種】
金融商品取引法違反に係る犯則事件の調査に従事する職員

【職務内容】
証券取引等監視委員会の証券取引特別調査官として、以下の事務に従事します。
・犯則事件の調査
虚偽有価証券報告書等の提出(いわゆる粉飾決算)やインサイダー取引、相場操縦、偽計等、金融商品取引等の公正を害する悪質な行為の真相を解明し、告発により刑事訴追等を求めるための調査。

【応募条件】
公認会計士の資格を有している方(会計監査業務又は不正調査業務の経験を有している方が望ましい)。

【雇用期間】
採用時から原則として2年程度。
(勤務成績や業務の必要に応じて、当初の雇用期間を超えて任用される可能性があります)
※ 勤務開始日は相談に応じます。

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まとめ

一定期間とは言え、民間の公認会計士から公務員への転身は、異なる職業の経験を活かす貴重な機会です。
違った視点からの参加は、行政の効率性向上や公共サービスの質的向上に寄与することになるでしょう。

ニッチな分野だけに、求人は特定のサイトから探すことになりますが、採用されれば公務員ならではの給与水準が魅力です。
公務員としての働き方や環境に興味を持つ公認会計士にとって、任期付き公務員は自身のキャリアにとって有用な選択肢と言えるでしょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

齊藤 仁美

大学卒業後、幸せに働く人を増やしたいという想いから新卒でMS-Japanに入社。
上場企業を中心とした求人開拓から管理部門全般のマッチングを行い、2021年1月より専門性の高いJ事業部に異動。
主に会計事務所、監査法人、社労士事務所の担当を持ちながら士業領域での転職を検討している方のカウンセリングから案件紹介を両面で行う。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ

監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。

具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。

転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。

キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。

ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?

一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。

監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。

事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。

40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。

企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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