経理で「スキルが伸びない人」の5つの特徴|市場価値を高めるために“作業経理”から脱出するには

頑張っているのに評価が上がらない理由
毎月ミスなく業務をこなしていても、それは「現状維持」の評価にしかならないため、昇進やスキルアップの実感が持てないのは、あなたの努力が「決まった作業の正確な遂行」自体をゴールにしてしまっているからです。
転職相談の事例で最も多いのが「毎月同じことの繰り返しで成長実感がない」という悩みです。
経理の仕事は正確さが命ですが、ルーティン業務をミスなくこなすことは、あくまで「期待値通り」であり、キャリアアップに不可欠な「付加価値」とは見なされません。
この状態が続くと、自身の市場価値向上を実感できず、30代以降のキャリアパスにおいて専門性の陳腐化という深刻な問題に直面します。
特に、中小企業では業務の固定担当になりがちで、上場企業では分業が進みすぎ、「決算をやっていると言っても、結局仕訳とチェックだけ」という状況に陥りやすくなります。
この「作業経理」からの脱出には、単なるルーティン処理から、「数字の背景を読み解き、経営に貢献する思考」へと視点を切り替えることが不可欠です。
スキルが伸びない経理の共通点5つ
スキルが伸びない経理の共通点は、単なる実務レベルではなく、経営参謀としての「思考レベル」の停滞にあります。
特に、「受け身なスタンス」と「数字の裏側への無関心」が、採用企業側から「物足りない」と判断される決定的な要因です。
1. 言われた業務しかやらない — 主体性がなく、評価が上がりにくい。
採用企業側が最も不満を持つのは「受け身」のスタンスです。
「教えてくれない」「任せてくれない」と環境のせいにしがちで、自分から「開示補助やらせてください」「税理士とのやりとり、自分が入っていいですか?」と手を挙げない人は、上司からも「指示待ち」と評価されます。
主体性の欠如は改善提案が出ないことにも繋がり、いつまでも定型業務の担当者から抜け出せません。
2. 数字の意味を考えない — 仕訳処理はできても“分析”ができない。
決算書を見る際、単に数字の増減をチェックするだけで、「なぜこの仕訳を切るのか」「会計基準上どういう狙いなのか」という業務の背景・意味を説明できない方は、市場価値が停滞します。
決算の「点」だけで仕事が止まり、BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)、CF(キャッシュフロー)の繋がりが理解できていないと、CFOが求める「財務情報から経営課題を見つけ出す思考力」に到達できません。
3. 社内外との関係構築が弱い — 他部門との調整力不足。
経理が扱う数字のほとんどは、営業部や事業部の活動から生まれています。
ここでいうコミュニケーション能力とは、雑談力ではなく「他部署の人から必要な情報(数字)を期日までに正確に引き出せる能力」です。
事業部から数値を引き出せず、期日までに証憑が揃わない方は「調整力不足」と見なされ、特に経営層との距離が近い企業ほど敬遠されます。
4. 改善意識がない — 非効率を放置してしまう。
「前任者が作ったこのExcelは手間だが、昔からこうだから」と非効率な業務フローを放置してしまうのは、「業務を作業としか捉えていない」証拠です。
改善意識がないと、システム導入プロジェクトで何の役割も与えられず、「エクセル入力の人」と見なされ、その後のキャリアでIT知識の差が一気に開いてしまいます。
5. スキル学習を“業務外”と捉える — 自己投資の意識が低い。
税務や開示、連結の専門知識の習得を「忙しい業務外でやる面倒なこと」と捉える意識は危険です。
30歳を過ぎて転職活動を始めた際、「書類選考で弾かれ、応募できる求人が少ない」という現実に直面するのは、実務経験に加えて知識を補強する自己投資を怠ったことが背景にあります。
成長する経理が実践している行動習慣
「作業経理」から脱出し、年収・キャリアを向上させているプロフェッショナルに共通するのは、「業務の背景知識を必ず深掘りすること」と「自身の業務守備範囲を自ら拡張する主体性」にあります。
1. 「なぜこの数字になったのか?」を常に考える癖を持つ。
この仕訳、この費用処理が「会計基準ではどう扱われるか」「業務フローのどこに位置づくか」という業務の背景を必ず調べることから始めます。
これにより、単なる「仕訳マン」から「会計基準を踏まえて説明できる、考える経理」へと一段階ステップアップできます。
2. 他部署と関わり、現場の動きを理解する。
経理室にこもるのではなく、現場の在庫管理担当や経営企画部門と積極的にコミュニケーションを取り、数字の背景にある現場の活動や経営戦略を頭に入れます。
この習慣により、単なる財務会計処理から、経営判断に資する管理会計へも踏み込めるようになります。
3. RPAや会計ソフトの自動化など、新しい仕組みに触れていく。
前任者から引き継いだExcelや業務手順をそのままやらず、「1つ改善」を入れる意識を持ちます。
マクロに置き換える、月次チェックリストを作成するなど、小さな改善を積み重ねることで、上司に「この人なら仕組み化を任せられる」と判断され、頼られる存在になります。
4. 上司や監査人に質問し、知識の“背景”まで理解する。
監査法人や税理士との折衝に「自分が入っていいですか?」と手を挙げ、論点を整理した上で質問する習慣を持ちます。
決算が完了した後も、ミスの原因分析や手戻りの多い箇所の改善案を自分でまとめ、決算全体の流れを理解した経理に育ちます。
「任せたら安心」という信頼資本の構築につながります。
市場価値を上げるための具体的キャリアパス
キャリアの停滞から抜け出し、市場価値を上げるには、「単体決算→連結決算」「財務会計→管理会計」という、年収レンジが明確に上がる隣接領域への拡張を意図的に行うことが最も効果的です。
1. 現職で改善テーマを1つ持ち、小さな成功体験を積む。
「月次決算を1日短縮する」「経費精算のチェックプロセスを合理化する」など、具体的な目標を設定し、マクロ化やチェックリスト作成などで達成します。
これは単なる効率化だけでなく、業務フローの課題を発見し、解決できる「業務整理力」を磨く訓練になります。
2. 1年で「できる業務の幅を1つ増やす」目標を立てる。
現在の守備範囲の外にある業務、例えば「固定資産管理を完璧にマスターする」「これまで触れてこなかった税務論点を学ぶ」など、意図的に業務範囲を拡大する目標を立てます。
これにより、部分的な担当から決算の一連の流れを理解する「自走できる人材」へと評価が変わり、年収レンジも450万円〜550万円へとステップアップします。
3. 隣接領域への専門性拡張(年収レンジ別ステップ)
最も市場価値が向上し、キャリアの選択肢が広がる隣接領域への拡張には、具体的なステップがあります。
単体決算 → 連結決算へステップアップすると、年収レンジは550万円〜650万円から650万円〜750万円以上に引き上がります。
マーケットが一気に広がり、上場企業やメガベンチャーのCFO候補の登竜門スキルとなります。
特に連結は「人手が足りない」希少スキルです。
財務会計 → 管理会計(予実管理・分析)へ領域を拡張すると、年収レンジは500万円〜600万円から650万円〜850万円に向上します。
“経営に近い経理”として評価され、ビジネス寄りのキャリア(経営企画など)へ広がる可能性があります。
財務会計 → 開示/税務などの希少スキルに特化すると、年収レンジは550万円〜650万円から700万円〜800万円が狙えます。
上場企業の経理で「希少スキル」扱いとなり、会計知識が必須のため、知識への自己投資が年収に直結します。
経理に求められるのは“考える力”
採用企業、特にCFOや経理部長が本当に求めているのは、「手を動かすだけの経理」ではなく、「自分がやっている業務の背景・意味を説明でき、経営に貢献できる判断を下せる戦略経理」です。
AIやRPAの進化により、単純な仕訳や集計は自動化が進んでおり、正確な作業だけでは価値が上がりにくい時代になりました。30代の経理パーソンに求められるのは、「人にしかできない判断」です。
これは、税務調査の際に論点を整理して対等に説明できる能力や、監査法人の指摘に対して根拠を持って回答できる能力など、会計基準や法律の「意図」まで理解した上での専門性のことです。
また、転職市場で評価されるコミュニケーション力とは、上司への「報連相が的確」であること。
つまり、相談すべき論点を事前に整理し、期限とリスクを明示して、意思決定者が判断しやすい資料を作る能力です。
これができる人は「仕事が速い人」と評価されます。
日々の業務の中で、「この数字のつながり(BS⇄PL⇄CF)はどうなっているか」「この処理は会計基準上どうあるべきか」と「考える余白」を意識的に作り出すことが、「作業経理」から脱出し、中長期的なキャリアパスを確固たるものにするための第一歩となります。
経理・会計士のキャリアについて、さらに具体的なアドバイスが必要でしたら、お気軽にご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、化粧品会社へ入社し美容部員として店舗販売業務に従事。
その後キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社し、
主に経理財務や会計事務所などの会計転職希望の方を中心に担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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