2024年10月09日

公認会計士資格の取得を撤退した後の就職・転職先は?事例と合わせてご紹介!

公認会計士試験は、司法試験や不動産鑑定士試験と並ぶ、最難関の国家試験の一角として知られています。
公認会計士需要の高まりを受けて、かつてよりは合格枠が広がっていますが、直近5年間の合格率は34~36%と決して簡単に合格できる試験ではありません。
実際に、公認会計士資格を目指された方の中には、何かしらの理由で公認会計士の資格勉強を諦める方もいます。

そこでこの記事では、公認会計士資格の取得を撤退された場合の就職・転職について考えていきたいと思います。

公認会計士資格の取得を撤退する理由は?

難易度が高く挫折した

公認会計士短答式試験の合格率は約10%、論文式試験も約35%と公認会計士の試験は非常に難易度の高い試験です。
その為、社会人になってから合格を目指すことは容易ではなく、大学卒業後も就職せずに予備校に通っている方も多くいます。
しかし、中には何度も試験に落ちてしまったり、勉強が難しく挫折する方もいます。

資格試験合格までの勉強時間が確保できない

公認会計士試験合格までの勉強時間は人それぞれではありますが、およそ3,000時間必要とされており、約1~2年の期間がかかります。
また、働きながら試験勉強をしている方は働いている環境の変化などにより十分な勉強時間が確保できなくなるケースもあるようです。

具体的な公認会計士試験の難易度はこちらの記事をご確認ください。

就職せずに試験勉強をしていたが、金銭的な問題で就職せざるを得なくなった

就職せずに試験勉強をしている場合、貯金を切り崩したり、アルバイトで生活費を賄ったりしている方もいます。
しかし、想定よりも試験勉強に期間がかり生計を立てられなくなり、公認会計士の試験勉強を中断する方もいます。

公認会計士試験を撤退する方の理由は様々ですが、諦めた方でも就職・転職することは出来ます。どのような就職先の選択肢があるのかを確認してみましょう。

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公認会計士資格の取得を撤退した後の就職・転職先は?

公認会計士資格を取得できれば、キャリアの幅を広げることが出来ることは明らかです。
しかしながら、実は資格を取得できていない場合でも、公認会計士資格の勉強をしていた事や会計に関する知識がある事は転職に有利になります。

公認会計士資格を撤退した方の就職・転職先は以下があります。

企業の経理・財務

公認会計士を諦めた方の多くは一般企業に就職・転職をして経理担当として働いています。
大半の一般的な事業会社では、実は高度な会計スキルは求められません。
その為、公認会計士を雇用するのはオーバースペックで敬遠されるケースも多く、その場合は、むしろ公認会計士試験に何度かチャレンジした後に公認会計士になることを諦めた方のほうが適任だと考える企業もあります。
よって、一般企業の経理部や財務部門に就職できる可能性は大いにあります。

公認会計士試験を諦めた方が、企業の経理・財務に転職する際に気を付けるべきことは、資格試験の為の勉強期間について職務経歴書や面接でしっかりと説明することです。
公認会計士試験は非常に難易度の高い資格の為、就職せず勉強に専念されていた方もいると思います。
その場合、社会人経験がないと判断されてしまう可能性がある為、勉強期間で得た知識や経験を職務経歴書や面接の際に説明するようにしましょう。

会計事務所の事務スタッフ

公認会計士を諦めたといえども、基礎レベルを超える会計知識を備えていますので、会計事務所や税理士事務所などの事務スタッフとして就職される方も多いです。
会計事務所の事務スタッフの仕事は主に、日々のデータ入力や資料作成、電話応対などに加えて、会計の知識が必要な会計士や税理士に補助業務となります。
事務スタッフの活躍によって会計士や税理士が独占業務に集中することが出来ますので、会計事務所の事務スタッフとして働くこともお勧めです。

会計事務所の事務スタッフとして働く場合に大切なのは、「ここまできた以上、試験合格の目標は果たさなければならない」「中途半端な状態では働けない」という意識や、余計なプライドを早めに捨て去ることです。
公認会計士試験ではうまくいかなくても、実社会での評価は全く異なります。 合格を諦めたとしても、再就職まで諦める必要は全くありません。

監査法人

もしも公認会計士試験を諦めた理由が、時間や金銭的な問題が理由なのであれば監査法人でトレーニーとして就職する選択肢があります。
監査法人のトレーニーとは、公認会計士を目指している方が監査法人に就職・転職して働きながら合格を目指すものです。
一部の大手監査法人で導入されており、試験勉強を監査法人が応援してくれるので、仕事と勉強の両立がしやすいとされています
監査法人でトレーニーとして働くためには、仕事をしながらでも公認会計士試験に合格できることを面接時にアピールしましょう。

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公認会計士以外でおすすめの資格

公認会計士を目指す過程で培った知識やスキルは、他の資格取得やキャリアアップにも役立ちます。
ここでは、公認会計士を諦めた人にお勧めしたい3つの資格を紹介します。

税理士

税理士は、税務申告や税務相談など、税に関する専門的な業務を行う資格です。
公認会計士試験の勉強をしていた人であれば、税法に関する知識は既に身についているはずです。
そのため、税理士試験への挑戦は比較的ハードルが低く、公認会計士を目指していた経験を活かすことができます。

日商簿記

日商簿記は、簿記に関する基本的な知識や技能を証明する資格で、特に2級以上は経理への就職・転職の際に評価されます。
公認会計士試験の勉強を通じて、会計の基礎は既に理解しているはずです。
そのため、日商簿記を取得することで会計に関する勉強をしていたことの証明に繋がります。

USCPA

USCPAは「米国公認会計士」と訳され、会計知識の理解や英語能力をアピールすることができる資格です。
近年、監査法人に転職する際に、USCPA取得者は高く評価されています。また、外資系企業での就職・転職にも強いアドバンテージとなります。

転職活動をプロがサポート

公認会計士資格の取得を撤退した方の就職・転職活動のポイント

就職活動のポイント

公認会計士試験を諦めた方の中には、会計の資格をもたない人もいるでしょう。
就職活動の前に日商簿記2級など、履歴書に書ける最低限の資格を取得しておくのが得策です。

一般企業の経理部などに就職を希望する場合は、面接などで会計人としての実績をアピールしすぎないようにしましょう。
公認会計士試験を諦めたという不安要素を払拭しようとして、どれだけ会計担当者として優秀で、どれほどの実績を積み上げてきたかを伝えようとしがちです。
ただそれだけをアピールしてしまうと、一般企業への就職・転職には逆効果に繋がりやすいです。

むしろ、チームの和を重視して、社内・社外とのコミュニケーションを積極的に採れる人材であることをアピールするエピソードを用意しましょう。
公認会計士試験に何度か挑戦した経験が伝えられていれば十分で、それ以上の会計スキルのアピールは過剰な印象を与えます。
かえって、他の従業員の仕事を尊重したり感謝したりするのが苦手で、組織の中で働く適性が欠けた人ではないかと疑われかねません。

一方で、会計士事務所や監査法人など、公認会計士の所長に雇用されるスタッフになろうとする場合、不合格者だからといって不用意に自身を卑下したり、卑屈に思わないように気をつけましょう。

合格か不合格かは、単に資格試験という一定のルール化で競った結果なのであって、その結果をもって、会計人としての社会的価値が結論づけられ、固定化されるわけではありません。

社会的に高く評価されて活躍し、人としてバランスの取れた公認会計士であれば、試験に挫折し、諦めた応募者だからといって、不用意に下に見ることは決してしません。
一定以上の敬意をもって迎え入れるはずです。

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公認会計士資格の取得を撤退した人の転職成功事例

会計士試験勉強の知識を活かして会計事務所へ就職された方の成功事例

Tさん、28歳/男性
転職前:事業会社(人数:30,000名) (年収:270万円)
転職後:会計事務所 (人数:18名)(年収:308万円)
資格:日商簿記2級

Tさんは学生時代から会計士の勉強をしており、卒業後の事業会社での仕事と勉強の両立が難しく、退職して勉強に専念しました。
しかし、会計士試験に合格できず、再び転職活動を開始。事業会社の経理を中心に活動していましたが、もともと税務への興味があったことから会計事務所も選択肢に入れました。
その結果、ある会計事務所からTさんの勉強へ取り組んだ経緯を汲んでくださり、内定を獲得することができました。

Tさんはもともと事業会社を優先して活動を進めていたこともあり、本当に会計事務所でやっていけるのか不安でした。
そこで弊社経由で既に入社されておりTさんと近しいバックグラウンドの方のお話をしたところ、安心し入社を決意されました。
現在は、同じ目標を持つ仲間と共に勉強と仕事を両立しています。

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まとめ

公認会計士資格の取得を諦めた方の中には、自信を失っている方や資格を持たずに就職、転職が出来るか心配と考えている方もいらっしゃると思います。
しかし、公認会計士の資格が無くても十分に就職・転職することは出来ます。

公認会計士資格の取得を諦めた方が就職・転職を成功させるには、細かいノウハウよりも、「自分は会計人として活躍できる人材だ」という自信を失わないことのほうが大切です。
不合格という結果を正面から受け入れ、胸を張って堂々とした態度で臨むほうが魅力的に映り、新たな職場で「仲間」として歓迎されやすいでしょう。

MS-Japanでは、「公認会計士試験を受けたけど落ちてしまった/断念した」という方の就職・転職支援も行っています。
公認会計士資格がない場合でも、勉強をした実績や知識は転職活動に十分に生かすことが出来ます。
監査法人、会計事務所や企業の経理・財務など様々な選択肢をプロのエージェントが提案します!

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

窪塚 勝則

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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MS-Japanは、公認会計士やUSCPAなどの有資格者や企業の管理部門に特化した転職エージェントです。
大手上場企業や監査法人、会計事務所(税理士法人)など、公認会計士の幅広いキャリアフィールドをカバーする求人をもとに、公認会計士専門のキャリアアドバイザーがあなたの転職をサポートします。
キャリアカウンセリングや応募書類の添削・作成サポート、面接対策など各種サービスを無料で受けることができるため、転職に不安がある公認会計士の方でも、スムーズに転職活動を進めることができます。

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ

監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。

具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。

転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。

キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。

ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?

一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。

監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。

事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。

40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。

企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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