2025年10月23日

経理の8つのキャリアパス|経理から活躍するために必要な経験・スキルを解説!

経理としてキャリアを積み重ねる中で、「この先どんな道があるのか」「今のスキルで次のポジションを目指せるのか」と悩む方は少なくありません。
経理のキャリアパスは、決算・開示業務を極めて経理責任者へと進む道だけでなく、財務や経営企画、内部監査、CFOなど、企業の経営中枢へと関わる幅広い可能性が広がっています。

本記事では、上場企業やIPO準備企業で活躍する経理責任者・CFO・監査役など、8つの主要ポジションを軸に、経理のキャリアパスを体系的に解説します。

この記事のポイント

経理のキャリアは、実務の延長だけでなく、財務・経営企画・CFOなど経営に直結する道へ広がっている。
キャリアアップには、会計スキルだけでなく、経営を理解し数字で語る力が不可欠。
今の会社の中だけで考えず、転職を含めた選択肢で中長期的にキャリアを描くことが重要。

キャリアパスとは

キャリアパスとは、自分がどのような職種やポジションを目指し、どのような経験を積みながら成長していくかという「キャリアの道筋」を指します。
経理職であれば、担当者としての実務経験を経て、経理責任者や財務責任者、さらにはCFOなどの経営層へとステップアップしていく道筋がキャリアパスの一例です。

キャリアパスを考えるうえで大切なのは、「今の会社内での昇進だけにとらわれないこと」です。
経理の専門性を活かせるフィールドは企業によって異なり、転職によってスキルの幅を広げたり、より経営に近い立場で活躍できる環境を選ぶことも現実的な選択肢です。

経理としてどんなキャリアを描くかを早い段階から意識することで、自身の成長を主体的にコントロールでき、将来的なキャリアアップの可能性を大きく広げることができます。

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経理のキャリアパス全体像

経理のキャリアマップ

経理職のキャリアは、個人の志向や得意分野によってさまざまな方向に広がります。
ここからは、代表的な次の8つのキャリアパスについて、求められるスキルやキャリアステップを具体的に見ていきましょう。

上場企業の経理責任者

上場企業の経理責任者は、経理部門のトップとして決算・開示・監査対応などを統括し、企業の信頼を支える重要なポジションです。
経理業務の正確性とスピードを両立させながら、経営層や監査法人とのコミュニケーションを通じて、会社全体の数字を俯瞰的に把握する役割を担います。

キャリアパス

経理担当者から経理責任者への昇進

経理責任者に至る道は大きく分けて2つあります。
ひとつは、上場企業やそのグループ会社で経理実務を積み重ね、主担当・係長・課長を経て管理職へ昇格するルートです。
もうひとつは、監査法人会計事務所での経験を活かし、企業側へ転身するルートです。

いずれのケースでも、決算業務を中心とした実務力に加え、チームマネジメントや経営層との折衝力が求められます。
企業の規模が大きいほど、経理の専門領域が細分化されるため、より広い視野と調整力がキャリアアップの鍵となります。

必要な経験・スキル

上場企業の経理責任者には、経営層に“数字で説明できる力”が求められます。
具体的には、決算・開示対応、会計基準の理解、内部統制や監査対応などの実務力に加え、経理部門全体を統括するマネジメントスキルが不可欠です。

また、経営層との意思疎通をスムーズに行うためのコミュニケーション力も重要です。
経理の専門用語を経営判断に結びつけて伝える“翻訳者”としての役割が、経理責任者の価値を高めます。

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上場企業の財務責任者

財務責任者は、企業の資金繰りや投資計画を通じて経営を支えるポジションです。
経理が「過去の数字を正しく記録する」役割であるのに対し、財務は「未来の数字を設計する」領域です。

キャリアパス

上場企業で経験を積み、財務責任者へ

財務責任者への道は、経理から財務へと専門領域を広げるステップアップ型と、IPO準備企業などで資金調達の経験を積み、上場企業へ転職する型の2つが中心です。

経理出身の方であれば、日々の資金管理や資金繰り表の作成を通じて、資金戦略や投資判断へと業務の幅を広げていくことが第一歩になります。
また、金融機関や事業会社での融資・財務分析の経験を活かしてキャリアチェンジするケースもあります。

財務は経営層に近い立場で意思決定に関わる機会が多いため、早い段階から経営視点を意識してキャリアを積んでいくことが重要です。

必要な経験・スキル

財務責任者に求められるのは、資金戦略を通じて企業成長を設計する力です。
具体的には、資金調達や投資判断、財務分析、キャッシュフロー管理などの実務スキルに加え、経営層との調整・提案力が欠かせません。

また、銀行や証券会社との折衝、IR対応、海外子会社を含む資金管理など、社外との関係構築力も重要です。
上場企業では英語力や国際会計の理解が求められるケースも多く、財務の専門性に加えて、グローバルな視点を持つことが強みになります。

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上場企業の経営企画責任者

経営企画責任者は、企業の成長戦略を立案・推進するポジションです。
経営層とともに中長期の経営計画を策定し、業績管理や事業分析を通じて会社の方向性を定める役割を担います。
経理や財務が“数字を扱うスペシャリスト”であるのに対し、経営企画はその数字をもとに経営戦略を描くポジションと言えます。

キャリアパス

上場企業で経験を積んで経営企画責任者へ

経営企画責任者を目指すキャリアパスとしては、経理・財務から経営企画に異動または転職するルートが一般的です。
経理として決算や予算管理の経験を積む中で、経営層との距離が近い業務を担当し、事業計画の立案やKPI管理へと関わっていくことで経営企画へのステップが見えてきます。

近年では、IPO準備企業やベンチャー企業で経営企画経験を積み、将来的に上場企業へ移るキャリアも増えています。

必要な経験・スキル

経営企画責任者に求められるのは、経営課題を数字から読み解き、戦略に落とし込む力です。
具体的には、財務分析や予算統制のスキルに加えて、事業戦略の立案力、部門間を横断して調整するコミュニケーション力が求められます。

また、経営層の意向を理解しながら、現場の実情を反映した施策を立てる“橋渡し役”としての感度も重要です。
近年では、データ分析やDX推進など、新しい経営手法への理解を持つことが、経営企画責任者としての強みになります。

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上場企業の内部監査責任者

内部監査責任者は、企業のリスク管理ガバナンス体制を支える要のポジションです。
業務の適正性や法令遵守をチェックし、経営陣に改善提案を行うことで、企業の信頼性や持続的成長を守ります。
上場企業では内部統制J-SOX対応など、監査体制の整備・運用を統括する重要な役割を担っています。

キャリアパス

内部監査責任者を目指すキャリアパスは、経理・財務・法務など管理部門での経験を積み、内部統制監査に関わる業務へ進むルートが一般的です。
経理出身者であれば、決算や会計処理の正確性を担保する立場から、監査視点でのリスク評価や業務改善提案にキャリアを広げるケースが多く見られます。

また、監査法人やコンサルティングファームでの監査・内部統制構築経験を活かして、事業会社の内部監査部門へ転身するケースも増えています。
経営層や取締役会に近い立場で意見を述べることが多いため、専門性と客観性を両立できるキャリアとして注目されています。

必要な経験・スキル

内部監査責任者には、企業全体を俯瞰してリスクを把握する力が求められます。
会計・財務・法務・情報システムなど、複数の領域を横断的に理解し、内部統制を整備・運用するスキルが不可欠です。

また、各部門と協力しながら改善提案を行うため、論理的思考力やコミュニケーション能力も重要です。
不正防止や業務効率化など、企業の健全な経営に貢献する姿勢が評価されるポジションです。
CIA(公認内部監査人)などの資格を取得することで、スキルの裏付けとして信頼を高めることもできます。

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上場企業のCFO

CFO(Chief Financial Officer/最高財務責任者)は、企業の財務戦略と経営判断を統括するポジションです。
経理・財務部門の最上位として、資金調達や投資判断、M&Aなどを通じて企業価値の最大化を担います。
経営陣の一員としてCEOと並び立ち、経営判断を数字で支える“ビジネスの舵取り役”ともいえる存在です。

キャリアパス

上場企業CFOになるためのキャリアパス

CFOを目指すキャリアパスは、財務責任者からの昇格、または経理・財務の実務経験を経て経営層に抜擢されるルートが一般的です。
経理・財務での経験を積み、資金戦略や資本政策、IR対応など経営に近い領域で成果を出すことで、CFOへのステップが見えてきます。

また、IPO準備企業や外資系企業でCFO経験を積み、その後上場企業に転職するケースも増えています。

必要な経験・スキル

CFOに求められるのは、企業の成長戦略を“数字で描く力”です。
財務会計・管理会計・資金調達・M&A・IRなど、幅広いファイナンス領域の知識・実務経験に加え、経営層や投資家との対話力が重視されます。

また、組織全体を俯瞰し、経営課題を早期に把握して意思決定を支援する能力も求められます。
CFOは企業の未来を左右するポジションであり、「財務のプロ」から「経営のパートナー」へ進化することがキャリアの核心です。

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IPO準備・スタートアップ企業の経理責任者

IPO準備やスタートアップ企業の経理責任者は、組織の立ち上げ期において財務基盤を整備する重要なポジションです。
経理業務を自ら手を動かして進めながら、制度設計や内部統制、監査対応など幅広い領域を担います。
スピード感のある環境の中で、会社の成長とともに経理体制をゼロから構築していく実践的な役割が求められます。

キャリアパス

上場準備企業・スタートアップの経理担当→経理責任者

IPO準備やスタートアップ企業の経理責任者を目指すキャリアパスとしては、中小企業や上場企業での経理実務経験をもとに、より広い裁量を求めてベンチャーへ転職するルートが一般的です。
上場を目指す企業では、開示体制の構築や監査法人対応など、上場基準を満たすための実務が発生します。
そのため、経理としての専門性を発揮しながらも、経営層と連携して仕組みをつくる力が求められます。

また、監査法人や会計事務所でIPO支援に関わった経験を活かし、企業側の経理責任者としてジョインするケースもあります。
この段階での経験は、将来的に上場企業の経理部長やCFOへキャリアを広げるための大きなステップとなります。

必要な経験・スキル

IPO準備やスタートアップ企業の経理責任者には、制度を整える力実務を回す力の両立が求められます。
具体的には、決算・開示の実務に加え、会計基準や内部統制への理解、IPOに必要な書類・手続きの知識などが必要です。

また、限られた人員の中で複数業務を兼任することが多いため、柔軟性とスピード感が欠かせません。
経営層との距離も近く、自らの提案が会社の成長に直結するやりがいの大きいポジションです。
スタートアップ特有の環境に順応し、主体的に経理体制を構築できる人材が重宝されます。

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IPO準備・スタートアップ企業のCFO

IPO準備・スタートアップ企業のCFOは、企業の成長段階に応じて資金調達や経営管理体制を整備する、経営の中心的な役割を担います。
創業期や成長期の企業では、経理・財務だけでなく、経営戦略の立案や投資家対応など、幅広い業務を統括する必要があります。
スピードと柔軟性が求められる中で、経営と現場をつなぐ“右腕”としての存在が期待されます。

キャリアパス

管理部門(経理・財務など)で実務経験を積んでCFOへ

IPO準備やスタートアップ企業のCFOを目指すキャリアパスとしては、経理・財務の実務経験を基盤に、資金調達経営管理の領域へとキャリアを広げるルートが一般的です。
ベンチャー企業やIPO準備企業では、外部からCFOとして招聘されるケースも多く、監査法人・金融機関・事業会社の財務部門など、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。

また、スタートアップでCFOを経験した後、上場企業のCFOや経営企画責任者へとステップアップするケースもあります。
“経営を数字で支える”という強みを軸に、成長企業でスピード感のある経営経験を積むことがキャリアの大きな糧になります。

必要な経験・スキル

IPO準備・スタートアップ企業のCFOには、ファイナンスと経営の両面から企業を支えるスキルが求められます。
資金調達や投資家対応、事業計画の策定、管理会計の整備など、幅広い経営実務をリードする力が必要です。

また、組織づくりや人材採用など、経営基盤そのものを整える役割も担います。
短期間で成果を求められる環境の中で、リスクをとって挑戦できる判断力やスピード感が求められます。
CFOとしての経験は、上場企業の経営陣への道にもつながる、極めて実践的なキャリアです。

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上場企業・IPO準備企業の監査役・社外取締役

監査役・社外取締役は、企業のガバナンスを支える立場として、経営の健全性を監督する重要な役割を担います。
取締役会や監査役会などで経営の意思決定をチェックし、法令遵守や内部統制の観点から助言を行うことで、企業の持続的成長を支えます。
経理や財務など、会社の数字に精通したバックグラウンドを持つ人材が多く、管理部門出身者にとってキャリアの集大成となるポジションです。

キャリアパス

経理責任者 → 内部監査責任者 → 常勤監査役

監査役・社外取締役を目指すキャリアパスとしては、経理・財務・内部監査・法務など、経営管理に関わる経験を重ねたのちに就任するルートが一般的です。
特に上場企業では、会計や内部統制に関する知見を持つ人材が重宝され、経理責任者CFO経験者が監査役・社外取締役に就くケースが多く見られます。

また、監査法人やコンサルティング会社で培った専門知識を活かし、企業の監査・ガバナンス体制を支援する立場に転身する人もいます。
IPO準備企業では、上場審査に対応できる内部統制や経営監督体制の整備が求められるため、実務と監督の両面を理解した人材が選ばれる傾向があります。

必要な経験・スキル

監査役・社外取締役に求められるのは、経営の意思決定を客観的に評価できる視点と専門知識です。
会計・財務・法務などの専門分野に精通していることはもちろん、経営の現場を理解し、リスクを的確に判断する力が重要です。

また、経営陣と対等な立場で意見を交わすコミュニケーション力や、企業価値の向上を見据えた提言力も欠かせません。
コンプライアンスやガバナンスへの社会的関心が高まる中、「経営に物申せる専門家」としての存在価値が一層高まっています。

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経理のキャリアパスを考える上でのポイント

経理のキャリアパスは、企業規模や志向によってさまざまな選択肢があります。
自分に合った道を選ぶために、スキルの方向性や働く環境を意識的に見直すことが大切です。

経理としてのスキルの幅を広げる

経理は、決算や仕訳などの実務にとどまらず、財務分析経営企画との連携など幅広い業務に関わる機会が増えています。
業務改善やシステム導入など、新しい分野に挑戦することでスキルの幅が自然と広がります。

また、DXの進展により、データ分析IT知識も重要性が高まっています。
「数字を扱う」から「数字で経営を動かす」へ、そのような視点の変化がキャリアを大きく前進させます。

中長期的なキャリアを意識する

経理のキャリアは、長期的な視点で計画することが大切です。
3年後、5年後にどんな役割を担いたいかを意識し、必要な経験を逆算して積み上げましょう。

たとえば、マネージャーを目指すならチーム運営を、CFOを目指すなら資金戦略に関わる機会を意識的に持つことです。
将来像が明確になることで、今の行動に一貫性が生まれます。

今の会社だけで考えない

キャリアを考えるときは、社内での昇進だけに視点を限定しないことが重要です。
経理の専門性はどの企業でも通用するため、転職市場を知ることが自分の価値を見直すきっかけになります。

特に30〜40代は方向転換を検討しやすい時期です。
外の選択肢を知ることで、自分に合った働き方や環境が見えてきます。

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まとめ

経理のキャリアパスは、実務を極めるだけでなく、財務・経営企画・監査・CFOなど、多彩な方向に広がっています。
自分の得意分野や興味を見極め、長期的な視点でキャリアを描くことが、次のステップへの第一歩です。

「今のスキルでどんな可能性があるのか」「どんな環境で成長できるのか」を知るには、専門のキャリアアドバイザーに相談するのも効果的です。
経理・管理部門に特化したMS-Japanでは、あなたの経験や志向に合わせて、最適なキャリアパスをご提案します。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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